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Q)デジカメのプリントはやはり、補正していただいた方がいいのでしょうか?『デジカメプリント』と『メディアプリント』はどちらがお勧めですか? 私はこれまで、デジカメ及びデジカメのプリントシステムの開発に従事してきました。残念ながら、一般の方がお考えになっている、「デジカメ」(というか、カメラシステム全般)は、現実の「デジカメ」とは、大きくことなっています。これは、本質的な事象ですので、これからどんなに技術が進んでも、決して解決できない問題だと認識しています。 人間の視覚は、大変良くできており、光源の状況が変わっても、物体の色の見え方は変わらずに済むようなメカニズムがあります。(光源の順応性) デジカメやフィルムには、そのようなシステムが不十分なため、物理的な色の情報しか記録できません。(電球の下で撮影されたものは赤く、太陽光線で撮影されたものは青く、蛍光灯の下で撮影されたものは、緑色に記録されます。)したがいまして、プリントする際には、物理的な色情報から、実際に撮影者が感じた色を推定して再現する必要があります。残念ながら、この推定作業は、自動化が大変困難で、人による補正に頼らざるを得ない部分が多いのです。 また、フィルムやCCDなどの感光体に、適正な量の光をあたえるメカニズム(露出システム)といいますが、多くのカメラは、画面全体の光のうち、中央部を平均的に評価する方式をとっております。したがって、白いシーツの上の赤ちゃんは、実際より暗く(アンダー)、暗い背景で撮影された赤ちゃんは、実際より明るく(オーバー)記録されてしまいます。 また露出システムでは、被写体の反射率を、ニュートラルグレーの18%標準反射板と推定しています。被写体の明るさは、カメラ側で測定できるものの、被写体の反射率(すなわち、物体が明るく照明されているのか、暗く照明されているのかとうことではなく、白いものなのか、黒いものなのかという物体の特性)は、カメラ側で認識する事はできません。したがって、標準反射板より反射率が高いものは、実際より暗く、標準反射板より反射率が低いものは、実際より明るく記録されます。 カメラで撮影する時の、被写体となるシーンのダイナミックレンジも問題となります。シーンの明暗比(一番明るい部分と、一番暗い部分の比率)は、10,000 : 1をこえる事が一般です。カメラで記録できるのは、1,000 : 1 ですし、プリントできるのは、100 :1 です。したがいまして、プリントする場合は、記録された情報の一部しか利用できないのです。それで、記録された情報のどの部分をプリントに使用すべきか、判断する必要が生じます。この判断を行わずに、メディアプリントを行うと、10,000 : 1 明暗差を、 100 : 1 に圧縮する事になるので、コントラストが著しく低いプリントなってしまいます。(撮影時の明暗比が、運良く100 : 1 になっていれば、そこそこのプリントが得られますが、そのようなシーンはわずかです。) 原理的には、デジカメで撮影した情報を、補正なしにプリントする事は、階調再現性からいって、意味がないのです。 メディアプリントは、s-RGBの規格に準拠したサービスです。s-RGBの規格に調整されたモニター上で、表示される画像とのマッチングがとれるようにしてあります。 上記御説明しましたように、デジカメに記録されているのは、物体の物理的な「色」情報です。撮影者が感じた色と大きく懸け離れている場合がおうおうにしてあります。 DTP等の専門的な知識がお有りになる場合は、この限りではありませんが、被写体となるシーンのダイナミックレンジに関する調整なしに、デジカメで撮影したデータを、メディアプリントで処理するのは、コントラストが低く、御満足いただけないと思います。 デジカメプリントの場合は、さまざまな状況を推定して、処理を行う必要があり、これには、オペレータの主観が大きく影響します。また、上記御説明しましたように、カメラでの露出の制御ミスによる、アンダーやオーバーのシーンは、補正しきれない場合もございます。 厳密に言えば、撮影者が感じた色を完全に再現するのは、プリントする人間が、同一のシーンを見なければ不可能です。 また、デジカメの内部のシステムで様々な処理(オートホワイトバランスなど)を施すため、デジカメで記録されているJPEGファイルの色が、撮影者が撮影時に感じた色や、物理的な色と一致しているともかぎりません。 厳密な色再現を求める場合には、プロカメラマンがバーサルフィルで撮影するように、光源の色温度を測定し、色温度に適した色温度変換フィルターを使用し、被写体の反射率に応じた露出を決定して撮影する必要があります。その上で、記録されたダイナミックレンジのうち、不必要な部分を取り除く階調圧縮作業を施した上、メディアプリントを行うことになります。 実際のところ、このような処理を行うのは、一部のプロカメラマンか、ハイエンドのアマチュアユーザーだけです。 良い回答ができず残念ですが、現状ではデジカメプリントをお勧めすることが最善かと考えます。 |